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3月31日午後12時、点滴をした状態の嫁は、元気そうに病室を歩いていた。
痛みの間隔は20分ほどに延びている。 なんと、陣痛が遠のいたというのだ。 そんなことがあるなんて聞いてないが、そう珍しいことでもないらしい。 嫁が元気そうなのは嬉しいが、なんだかまたも拍子抜けしたような気分だった。 実際、子宮口の開きも6センチくらいから変わっておらず、夕方の段階で小康状態が続いているようだったら一般の病室に戻るという話になった。 しかし、同時に僕の中には、またひとつの不安が芽生えていた。 タイムリミットが近づいていたのである。 僕は出産予定日を挟んで前後1週間ずつのスケジュールを空けて、函館に帰ってきていたが、仕事の関係で4月2日の朝には東京行きの飛行機に乗らなければいけないことになっていた。 残された時間は1日半。 立ち会えないのが残念という気持ちもあるが、それよりもこんなに大変そうな嫁をひとり残していくのはあまりに忍びない。 数時間前、あと8時間もすれば子どもに会える、なんて思っていた僕の頭上に暗雲が立ちこめはじめた。 しかし、それを先生に言ってもどうにもならないことは分かっている。 嫁にとっては余計なプレッシャー以外のナニモノにもならない。 僕はただ黙って、運命に身を委ねることにした。 同日午後4時、再び陣痛の間隔が短くなってくる。 とりあえず、部屋の移動は無しとなり、引き続き個室で出産に備えることになった。 病院では朝昼晩と食事が出たが、この頃から嫁はご飯を口にできなくなっていた。 看護婦さんは体力勝負だからなるべく食べてくださいねと言う。 本人もそのことはわかっているが、どうしても食事が喉を通らないのだ。 少しでも何か食べれるものをということで、ヨーグルトを少し口にするのが精一杯。 冷たくなったご飯は僕が食べたが、ご飯らしい味がしなかった。 午後11時過ぎ、テレビでは『笑っていいとも!』のグランドフィナーレがエンディングを迎えていた。 嫁はというと、再び陣痛の間隔が短くなり、痛みに顔を歪めている。 昼間の元気がまるで嘘のようだった。 僕は汗を拭いたり、背中をさすりながら、陣痛の間隔を計っている。 7、8分間隔と短くはなっているが、医者にいわせると、出産はまだ先らしい。 なんとか早く、痛みから解放してあげたいが、やはり僕にできることは何もない。 とにかく、テレビを消して、電気を落とし、少しでも休もうと横になることにした。 どうにか痛みをいなそうとする深呼吸の音だけが、暗く、窓のない病室に響く。 僕はソファーに横になったものの、とても寝れたものではなかった。 ようやくウトウトしはじめた頃、僕を呼ぶ嫁の声がかすかに耳に届いた。 起き上がって聞いてみると、「破水したかも…」と力なく話す。 僕の全身にはまたも小刻みな震えが走ったが、落ち着きを取り繕って、一旦トイレで確認してみるように促した。 ゆっくりと体を起こしてあげると、背中は汗でびっしょり。 点滴を引きずりながら、トイレへと向う姿を見て、心臓が押しつぶされるような気持ちになった。 結局、破水はしていなかった。 時計に目をやると、午前0時半。 これほどまでに朝が遠いと思ったことはなかった。 朝になれば何かが解決するわけではないが、とにかく夜を抜け出したかった。 続く…
by abe-kohey
| 2014-04-20 10:49
| 社会
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